大人の女と男の関係

しかし――


結局何もいい考えが浮かばないまま、1ヶ月。


成哉とは再び音信不通になってしまった。


あの夜のキスを思い出してはケータイを手にし、成哉の番号を表示して、またケータイを閉じる、そんなことを何度繰り返したか。


でも、私から連絡することはどうしてもできなかった。


一体なんて言う?


『その後、由宇さんのお父さんとは話した?』とでも?


無理。


そんなプライベートなこと、向こうから言ってくるならまだしも、こちらから聞くことじゃない。


『ちょっと聞きたいんだけど、あの日のキスの意味は?』


ありえない。


どんな返事を期待してるのよ。




成哉からの連絡をあてもなく心待ちにしながら、私はただ淡々と日々の仕事をこなして過ごしていた。


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