大人の女と男の関係
「お断りよ。
前にも言ったでしょ、私は合コンなんて行かないって。
行くなら他の子を誘って。
それにね、相手から見たらうちはお客の立場よ。
向こうは接待、って考えてるかもしれないわ。
あんまり本気にならない方がいいと思うわよ?」


つい小姑のような口調になってしまった。


「そんなこと言わないで下さいよー。
それに、向こうがそういうつもりなら、それを利用したっていいじゃないですか。
もしかしたら、見積もりより安くやってもらえるかも、ですよ。
香菜さん、本当はもう少し抑えたいって言ってたじゃないですか」


うっ。


たしかに見積もり金額を聞いた時、そう言った。


今回のパソコン入れ替えは管理部門のみ。


管理部門、というのは総務、経理、人事など、営業が稼いできた会社のお金を使うばかりのコスト部門。


そういうところでも必要経費は出る。


でも、できるだけ金額は抑えたい。


経費削減は常に上司からも言われているし、私自身も心掛けていることだった。


千佳ちゃんは、私のためらいを的確に見抜いた。


「ね、仕事だと思って付き合ってくださいよー」


まったく……


私は観念した。


< 168 / 304 >

この作品をシェア

pagetop