大人の女と男の関係
10.価値観の相違と拒絶
「まださっきの人たちと一緒だったんじゃないの?」
私が駆けつけると、成哉は聞いてきた。
「うん。
カラオケ行ってた。
あのさ、あの人たちなんだけど、取引業者さんでね、千佳ちゃんが営業さんを気に入って、どうしてもって言われて飲みに付き合っただけだから」
ハアハアと息を切らしながら私は一気に言った。
駅の階段を駆け上がり、すっかり息があがっていた。
うー、運動不足実感。
そんな私を見て、成哉は苦笑した。
「そっか。
さっきは俺も会社の先輩と一緒だったから声かけられなくて……
抜けてきちゃってよかったの?」
肩で息をしながら、改めて成哉の顔を見上げた。
よかった、機嫌悪くはなさそう。
「いいの、いいの。
それより、成哉おなかすいてるでしょ?
もうホーム入っちゃったし、このまま電車で新宿に出て、どこかで食事しようよ」
私が提案すると、成哉は「ああ、いいよ」と了解してくれた。
よかった。
成哉と向き合ってちゃんと話せることにほっとした。