大人の女と男の関係
こういうことを、気にせずに聞いてくるのは千佳ちゃんならではだ。


いわゆるKYというやつ。


でも、本人にまったく悪気がないのがわかるから、こっちも普段どおりにに答えた。


「まあね。
でも、私とは読む本の傾向は違ったかな」


「じゃあ、香菜さんが置いてきた本、どうなっちゃうんでしょうね」


「さあ。
売り払うかどうにかするんじゃない?」


ワンピースをハンガーにかけながら、残してきた本に少しだけ思いを馳せた。


やっぱり、あのシリーズも持って来るべきだったかな……


「そっかあ。
前のマンションは島村さんも出るんですか?」


「ええ、そうらしいわ。
ただ、彼はこのゴールデンウィークも忙しいみたいで、いつ引越せるかわからないようだけど」


「ああ、島村さんの会社、営業さんは忙しそうですもんね。
香菜さん、なかなか遊びに行けないってよくぼやていましたもんね」


「まあね……」
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