大人の女と男の関係
「二人で家に帰ってきてから、借金をどうするの?ってけんかよ。
彼にだって答えなんか出せないのはわかってたんだけどね」


「それが、いつ頃の話ですか?」


「1年半過ぎた頃だったかな。
その後、いくらかは向こうのお母様がこっそり出してくれたみたい。
でも、私達はその前後から家庭内別居みたいになってて。
私はもう、最初に決めた自分の負担分のお金しか出さないことにして、彼の借金には関知しないことにしたの。
勝手にすればって思ってた。
もうその頃には、私の中では早く離婚したいって気持ちばかりが膨らんでいったの」


一気に言って、私はワインで喉を潤した。


「それからほどなく、私から離婚を切り出した。
離婚届もらってきて、彼にサインをせまったの。
でも、なかなか判を押してくれなくて」


「それって、もしかして島村さんはまだ香菜さんのこと愛してた、とか?」


私は苦笑しながら首を振った。


「世間体が悪いって。
バツイチになるんだぞ、君は恥ずかしくないのかって言われたわ」


千佳ちゃんはため息をついて頭を抱えた。
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