大人の女と男の関係
そんな私の心中を無視して、千佳ちゃんはメニューを取り寄せ、成哉に料理を勧めていた。


「じゃあ、もう二人ともコース終わりそうだし、俺はパスタとコーヒーだけ頂こうかな」


そんなことを成哉は呟いていた。



あー、もう、気まずいったら!


なんで、抱かれたいかなんて聞くのよ~


成哉が来ることわかってて、いや、もしかしたら成哉が店に入ってきたのを見て、千佳ちゃん、わざとあんなこと聞いてきたの?


もう最悪~


私は、顔を上げることもできず、パスタに専念しているフリを続けた。



「香菜さん、それなんてパスタ?」


ふいに成哉に聞かれ、私はむせそうになった。


「ん?あ、これ?
えーと、なんだっけなあ。
コースの中に入ってたから、単品で頼んだわけじゃないから、あれ、なんだったっけ?
カニの、えーと、なんかちょっと辛いやつなんだけど……」


しどろもどろに答えているうちに成哉はホールスタッフを呼び、私の皿を指して同じものを頼んだ。


ハハハ……


なんかもう、いろいろだめだ、私…………


< 211 / 304 >

この作品をシェア

pagetop