大人の女と男の関係
その後のことは、正直、あまり記憶にない。
恥ずかしいやら情けないやら。
千佳ちゃんと成哉は会話が弾んでいたみたいだけれど、私は申し訳程度に相槌を打つのが精一杯で。
気付けば店の外で、千佳ちゃんと成哉が会計のことで押し問答していた。
千佳ちゃんが「今日は私が香菜さんに誕生日プレゼントでおごることになってるんですから」と言えば、
成哉は「じゃあ、自分の分くらいは出すよ」と答え、
「いえいえ、無理言ってきてもらったんですから」と千佳ちゃんが言うと、
「来たくて来たんだから」と成哉が答えるといった調子。
結局、根負けした千佳ちゃんが成哉にいくらか押し付けられて決着したようだ。
お金を財布にしまうと、千佳ちゃんは顔を上げた。
「じゃ、私はここで。
成哉さん、あとよろしく!」
明るくそう言い放って、千佳ちゃんは私の返事も聞かずに、逃げるように帰ってしまった。
えええー?
千佳ちゃん!!
そうして、今。
私は成哉と二人、店の前に立っていた。