大人の女と男の関係
「まだ時間大丈夫?」


成哉に聞かれ、私は頷いた。


じゃあ、と成哉に連れて行かれたのは、かつてよく出入りしていたホテルのバーだった。




「ここ、久しぶりに来たけど、変わってないね」


成哉の呟きにつられて店内を見回した。


オレンジ色の間接照明に浮かび上がる上質そうなソファやタペストリー。


成哉の言うとおり、落ち着いた雰囲気は昔のままだった。



カウンターに並んで座り、カクテルを頼んだところで、成哉がバッグから何かを取り出した。


「プレゼント」


そう言ってカウンターテーブルの上を滑らせ、私の目の前に差し出されたのは、CDショップのロゴの書かれた袋だった。


「花束ももらったのに、いいの?」


成哉の顔を見て聞くと、微笑んで頷かれた。


「たいしたものじゃないけど」


私も笑顔になって聞いた。


「開けていい?」


成哉が頷くのを見て、袋の中身を取り出した。
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