大人の女と男の関係
そこまで考えて、はたと思い当たった。


あれか。


たぶん。



『じゃあ、香菜さんは成哉さんに抱かれたいとは思わないんですか?』

『えー、思わないよ』



さっきは本当に思い出せなかったんだけど、今はあえて思い出せないフリを続けようと思った。


でも、気付いてしまうと、再び気まずい思いがこみ上げてきた。


答えがどうこうではなく、成哉にはこんな話題自体聞かれたくなかった。


多少なりとも、成哉をそういう対象として見ていると感じさせたくなかった。


そうでなければ、私は今成哉の隣にいてはいけないような気がした。


親友、なら、ここに座っていられる。


でも、そうでないなら……


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