大人の女と男の関係
急激に居心地が悪くなってきたとき、成哉が言った。


「明日も仕事でしょ?
そろそろ行こうか」


渡りに船の申し出だった。


頷いて、私はグラスに残ったカクテルを飲み干した。




送ってくれるというので、私の使う電車のホームに一緒に向かった。


ホームはラッシュのピーク時並みの混雑だった。


人波に押されるようにして到着した電車に乗り込む。


空いているつり革を探してキョロキョロしていると、成哉が右腕を回してそっと背中を支えてくれた。


成哉の顔を見上げると、「俺に捕まっていいよ」と言ってくれた。


「ありがと」


そう礼を言ったけれど、さすがにそれは気が引けて、何とか両足を踏ん張って揺れに耐えることにした。
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