大人の女と男の関係
しかし、ぎゅうぎゅう詰めの車内は、踏ん張ろうと持ち上げた足の置き場にさえ困るほどで。


カーブで車体が傾くと、人に押されて成哉の胸に体を預けるような体勢になった。


成哉が私の背中を支えているせいで、ほとんど抱き合うような形だ。


成哉の胸に頬をくっつけたまま身動きできない。


うっ、ちょっとこれは……


少しでも離れようと努力はしてみたけれど、大勢の人の圧力が全身にかかって体はびくともしなかった。


……しょうがないか。


不可抗力、だよね。


私はつっぱって体に力を入れるのを諦め、成哉の胸に体重を預けた。


後ろから押されるのを、成哉が私を守るように腕で遮ろうとしてくれているのがわかった。


成哉の胸、思ったより広いんだなあ。


見た目スリムだけど、決して華奢ではない胸の広さと厚さに、改めて男を意識した。
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