大人の女と男の関係

「お待たせ」


肩をたたかれるまで気付かなかった。


成哉が到着するのが思いのほか遅くて、記事に集中してしまっていた。


顔を上げると、成哉が微笑んでいた。


が、成哉がスーツではなく普段着だったので驚いた。


「あれ?」


てっきり成哉も会社から来るんだと思い込んでいた。


「ああ、今日は会社休んだんだ」


「そうなんだ、体調悪かったの?」


もしかして週末の話し合いがうまく行かなくて心労が出たとか?


しかし、それは私の杞憂だった。


「いや。
今朝、こっちの役所で必要書類もらって、向こうに持っていったんだ。
で、由宇と提出してきた」


「そっか」


「正式に離婚したよ」


「……うん」

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