大人の女と男の関係
そうよね。


お惣菜を持って帰って食べるわけだから、どちらかの家に行くわけよね……


つい、部屋で二人きりになった後の展開をあれこれ妄想してしまいそうになる自分を叱咤した。


違うから!


食事するだけだから!


私はできるだけさりげなく答えた。


「散らかってても構わなければうちでもいいけど……」


成哉の家には行ったことがなかった。


成哉がどんなところで生活しているのか興味はあるけど、でも、そこは由宇さんと過ごした家なワケで……


離婚成立したとはいえ、きっとまだ荷物の整理は終わってないだろう。


由宇さんの匂いの残っている部屋に行くのはためらわれた。


それよりも、週末掃除したばかりだし、お惣菜を盛り付けて出したりするにも食器のありかがわかっているうちの方が動きやすい。


そう判断して私は再度言った。


「成哉さえよければ、うちにしない?」


「了解」


成哉はそう答えて、デパートの駐車場へと車を滑り込ませていった。


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