大人の女と男の関係
「おぉー、うまそう!」


デパ地下グルメの数々を目の前にして、成哉は大喜びだった。



「香菜さん、これ、どう?」


「うん、おいしそう!」



見るものすべてがおいしそうに見えて、ついつい、食べきれるのか疑わしいほど買い込んでしまった。


成哉が食べたがっていたヒレカツ、キッシュ、ローストチキンはもちろん、サラダにマリネにエビチリ、かに玉。


そしてさらに。


「あ、この苺タルトおいしそう!」


「お、いいね。
すみません、これ2つ!」


即決で注文して財布を出そうとした成哉を私は制した。


「あ、これは私が出すから成哉いいよ」


「え、いいのに」


成哉を抑えてお金を払い、お釣りをもらっていると、ケーキの箱をを店員さんが成哉に渡した。


財布をしまうと、私は成哉の手からケーキの箱を奪うように取った。


「これは私が持つよ」


「ん?大丈夫だよ」


成哉はそう言ったけれど、私は成哉が両手に持った袋の束を指差した。


「でも、成哉そんなに持ってるんだもん、ケーキが斜めになっちゃうでしょ」


すると、成哉はケーキの箱を差し出す代わりに、私の手から袋を取ろうとした。


「じゃあ、さっきのサラダとマリネ俺が持つよ」
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