大人の女と男の関係
私は自分の手を成哉から遠ざけた。


「いいのいいの、これくらい軽いんだから、平気よ。
普段はもっと重い買い物一人でしてるんだから」


そう答えると、成哉は苦笑してやっと諦めてくれた。


「それにしても……」


私は成哉が両手いっぱいに持ってくれた荷物を見ながら言った。


「おなかがすいてるときに、こういうところに来ちゃだめだね」


ところが、成哉はあっけらかんと答えた。


「そう?これくらい二人ならいけるでしょ」


成哉だって、それほど大食いってワケじゃないくせに。


そう思ったけれど、成哉と一緒に買い物をするのは新鮮で楽しくてもっと買い物していたい気分だった。


しかしさすがにそれ以上は食べきれないだろうと買い物は終わりにして、二人並んで駐車場へ向かった。
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