大人の女と男の関係
千佳ちゃんの元夫に関するお喋りに辟易してきて振り返ると、彼女は床に座り込んでアルバムを覗き込んでいた。


「あ、こら、サボってる!」


軽く睨むと、エヘヘと悪びれずに見上げてきた。


「だって、本少ないから、もう終わっちゃいましたもん。
それに、あっちは私がやっちゃまずいんでしょ?」


下着類が入ってるからと、最初に私がよけた箱を指差した。


そう言われて真新しい1LDKの部屋を見渡した。


5月の爽やかな日が差し込んで、明るくフローリングを照らしている。


ダンボールの空き箱が散乱しているが、引っ越してきたばかりでまだ家具もすべてそろっているわけではないので、がらんとした印象だ。


開かれずに残っているのは、食器棚が来るまで入れられない食器類のダンボール箱だけだった。


「そっか。
じゃあ、しょうがない。
こっちももうすぐ終わるからちょっと待ってて」


私は衣類を片付ける手を早めた。
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