大人の女と男の関係
「成哉、でいいよ。
君付けなんて、小学校以来されてないからへんな感じがする。
塾では中学生に国語と英語、高校生に古文を教えてる」


彼氏じゃない男を呼び捨てにするのは、年下でも気が引ける。


私はできるだけ名前を呼ばずに話すことにした。


「文系なんだ?」


聞くと成哉は頷いた。


「大学では現代文学を専攻してた。
ちなみに将来はフリーのルポライター志望」


「へーえ。
ルポライターってどうやったらなれるの?」


社会人になっても、自分の属する業界以外のことは案外知らないものだ。


私にはルポライターの知り合いもいないのでまったく知識がなかった。


「今はいろんな新聞社や出版社に記者として就職活動中。
フリーになるのは、ずっと将来の夢」


「ふうん、そうなんだ」

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