大人の女と男の関係
しかし、その後はそういう話題になることもなく、私は正直ほっとした。


いつもどおりの笑い話。


成哉との話題は、それが一番リラックスできた。



ある程度満腹になると、私達は居酒屋を出てホテルのバーに移動した。


カウンターに並んで座ると、テーブル席で正面に成哉の顔を見ていた居酒屋よりも落ち着けた。


いつもの「マーヤ」での位置関係と同じだったせいかもしれない。


ただ、地下の「マーヤ」と違い、高層ホテルの最上階からは目の前に夜景が見えた。


煌く無数の光の粒は、私たちを無口にさせた。


それに、静かなバーには笑い話は似合わない。



来るべき店を間違えたかな。


私がそんな風に思い始めた頃、成哉が口を開いた。
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