大人の女と男の関係
成哉が上げた俳優の名に、私は驚いた。
後藤陽司は劇団の中でもちょっと異色な個性的な俳優だった。
でも、私がその劇団を好きになったのは、彼に魅せられたからなのだ。
しかし、学生時代に一緒に見に行っていた友人達はみな、劇団の看板俳優贔屓で、後藤ファンは私だけだった。
個性的な俳優なので、意見が分かれるのは仕方ないのだが、それ以来私は仲間内で「変わった趣味」だとレッテルを貼られた。
「えー、私も!
今回のバーテン役も良かったでしょ?」
「良かったよー。
ヒロインの背中を押して一歩を踏み出させるシーン、しびれたなあ」
「ああ、あそこもいいよね。
でも、私が一番好きだったのは、彼が最後に店の明かりを消して去る直前の演技」
「ああ、わかる!
あの独白は秀逸だよな」
「そうそう、そうなの!
あー、あの良さがわかる人がこんな近くにいたなんて嬉しい!」
私はグラスを掲げた。
カチンと成哉が自分のグラスを合わせ、私たちはその後も飽きることなく演劇の話に花を咲かせた。
後藤陽司は劇団の中でもちょっと異色な個性的な俳優だった。
でも、私がその劇団を好きになったのは、彼に魅せられたからなのだ。
しかし、学生時代に一緒に見に行っていた友人達はみな、劇団の看板俳優贔屓で、後藤ファンは私だけだった。
個性的な俳優なので、意見が分かれるのは仕方ないのだが、それ以来私は仲間内で「変わった趣味」だとレッテルを貼られた。
「えー、私も!
今回のバーテン役も良かったでしょ?」
「良かったよー。
ヒロインの背中を押して一歩を踏み出させるシーン、しびれたなあ」
「ああ、あそこもいいよね。
でも、私が一番好きだったのは、彼が最後に店の明かりを消して去る直前の演技」
「ああ、わかる!
あの独白は秀逸だよな」
「そうそう、そうなの!
あー、あの良さがわかる人がこんな近くにいたなんて嬉しい!」
私はグラスを掲げた。
カチンと成哉が自分のグラスを合わせ、私たちはその後も飽きることなく演劇の話に花を咲かせた。