大人の女と男の関係
成哉は演劇に造詣が深く、話していて楽しい相手だった。


カクテルも進み、もともとあまりアルコールに強くない私は、2杯目のファジー・ネーブルを飲み終える頃にはすっかりいい気分になっていた。



「ちょっと失礼」


トイレに立った時、思いのほか酔っていることに足元のおぼつかなさで気づいた。


普通に歩いているつもりなのに、ふわふわと軽く感じる。


老舗ホテルのバーのカクテルは、居酒屋のよりアルコールがしっかり含まれてるんじゃないかしら。


そんなことを思いながら洗面台に寄りかかって化粧ポーチを取り出し、今夜はもう飲まない方がいいかな、と少し気を引き締めた。



席に戻り、成哉におかわりを聞かれて私が断ると、「じゃあそろそろ行こうか」と成哉は自分のグラスの残りを飲み干した。


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