大人の女と男の関係
外に出ると、夜風が火照った頬に気持ち良かった。


駅に向かって歩き出すと、成哉はまたいつものように軽口をたたき始めた。


「なーに言ってんのよ!」


笑いながら成哉の肩をたたくと、私はその反動でよろけ、狭い歩道を反対から歩いてきた人にぶつかりそうになった。


すると、成哉が腕を伸ばして腰を支えてくれた。


成哉の大きな温かい掌を腰に感じ、どきりとした。


「あ、ごめん、サンキュ」


私が体勢を立て直すと、成哉は微笑んで私の腰から手を引いた。


普段しっかり者を自他共に認める私には、そんな小さな支えですらもなんだかくすぐったく感じられた。


私は照れ隠しに大きく伸びをした。


「んー、いい気持ち!」




帰りの混んだ電車内でも、成哉は私がよろけるたびに腰や背中を支えてくれた。


最寄り駅に着くと、家まで送ってくれると言うので、初めて成哉に送ってもらった。


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