大人の女と男の関係
3.彼とカノジョと上司とタバコ
「えー、それでそれで?
家に上げたんですか?
ちょっとちょっと、香菜さん!
なんにもないなんて嘘ばっかりじゃないですか!」
私がそこまで話すと、千佳ちゃんが興奮して突っ込んできた。
「いやいや、ホントに何もないのよ。
家にも上げてないし」
「えー、うそー!
だって、誘われたでしょ?」
千佳ちゃんは身を乗り出し、疑わしげに私を上目遣いに見た。
私は首を振った。
「ないない!
アパートの前で『じゃあ』って帰って行ったわ」
私がそう答えると、千佳ちゃんはつまらなそうに体を引いた。
「えー、ありえなーい。
マジですか?」
「マジです」
「香菜さんからも誘わなかったんですか?」
「誘わないわよ。
だって、言ったでしょ。
私にとって成哉は結婚対象の条件に合わないし」