大人の女と男の関係
「摩耶さん、いつもごめんなさい」


私が頭を下げると、摩耶さんは笑いながら首を振った。


「大丈夫、香菜ちゃんの愚痴はストレスにはならないから。
似たような経験は私にも少なからずあるから、代弁してくれてすっきりするくらいよ」


「だってさ」


成哉は自分で話を振ったくせにそんな風にうそぶいて。


私と摩耶さんは顔を見合わせて苦笑した。


成哉は1本目を吸い終えるや、すかさず2本目を取り出した。


「あー、もう、ちょっとせっかく買ったのになくなっちゃうじゃない」


私が文句を言うと、成哉は取り出したタバコを箱に戻し、摩耶さんに声をかけた。


「じゃあ摩耶さん、マルボロ一つ」


「マーヤ」には客用にタバコが常備してある。


カウンターに小銭を置く成哉を見て、私は焦った。
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