妄想★酒場~雑談帳~



「リン、頭に糸屑ついてた」



私の頭から糸屑をつまみ


指先にふっと息を吹きかけ
てっちゃんは また座った



  ドキドキドキドキ


まだ動悸が収まらないわ


だって、だって私………



カウンターからの少し怯えた視線に気がついて



てっちゃんが
不思議そうな顔して


「リン?」と訊いた


『何でもないよ』


「なんだよ、言えよ」


『私、背の高い人苦手なの』


「え?」


『女の子でも男の子でも
170以上は怖いのよ』


189のてっちゃんが立ち上がって近づけば かなりの恐怖だ


「170以上ダメ?
女ならともかく
男は高い方がいいべさ」


『残念。男の子も願わくは160ジャストが好きー』


「なかなか いないべよ?」


『いないんだ、これが』


「今までの男は?」


あらっ。そこ訊いちゃう?


『1人除いて、低めだった
私よりは高かったけど』



「その1人は
なんぼあったのさ?」


『身長かい?
187って言ってたよ』


「やたっ!オレの勝ちー」


『はい、はい。おめでとさん』


「何でダメなのさ?
その187にヒドイことされた?」


『その187のせいで
気がついたってだけ
自分が背の高い人苦手だって
187は…別に普通のアホだった』


てっちゃんは あきれた顔して


「リンさ、元カレ アホ言っちゃうのカッコ悪いよ?」


『そ~ね。失礼しました』



悪口で言ったわけじゃない
私もアホだもん
アホ男が相応しかったよ。
あの頃は




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