妄想★酒場~雑談帳~




    数分後





「リンちゃん
落ち着きました?」


「ゼェ、ハァ……
ええ、取り乱して失礼」



カラン……


柊ちゃんはストローで
アイスティーの氷をつつき



「まあ、オレも16年
独りでいた実績があるからね」



「そーよね、柊ちゃん
苦労したよねぇ
寂しい思いも
たくさんしたよね」



………ふっ、と
柊ちゃんが表情をゆるめて



「寂しいだけでは
なかったけどね」



なんか
しんみりしちゃうなー



「今度いろいろ相談のってね
柊ちゃん」


「うん、うん」


「私、結婚するなら
柊ちゃんみたいな人がいいな」


「うん、うん
(オレは嫌だけど)」


「話は変わりまして
奥さんのお腹は順調ですか?」



パアッと
柊ちゃんの顔が明るくなり



「おかげさまで
いや、この年で
まさかと思ってたんだけど
本当にね、嬉しくて……」



そして このあと何時間も
柊ちゃんのノロケ話は
続くのです………




「なんか悪阻がつらそうで
オレが家事全部やるんだけど
あの子『ごめんなさい』って
いちいち謝るんだ


そんなの夫として当然で
あの子が謝ることないのに
いや、本当にいい子だよね


なんていうか素直だし……
明るいし……
まさしく太陽みたいな……」





……もう帰れば?柊ちゃん





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