春夏秋冬 The Season Story
第八章 砂糖
暗闇、そこはちょっと危険なワールド、いやアダルトな世界である。
俺、無敵 王はいまこそ精密な計画を今こそ実行するときである。
ここは映画館、ここでの目的は手をそっと繋ぐことだ。俺はこのために、このために今を生きていたんだ。やっちゃるで。
ふっ、デートといえばやはり恋愛映画に限る。今日は超話題作でアカデミー賞を100パーセント受賞するだろうという恋愛映画「あなたはコーヒーに砂糖はいくついれる」である。そうこう考えている内に映画が始まった。

「ロドリゲス、あなたコーヒーにお砂糖はいくつ入れる?」
「セニョリータ、僕は大の甘党でね。君の愛の数だけ入れてくれたまえ」
「わかったわ。ロス」
そういうとセニョリータはコーヒーを差し出した。
「WHY〜、セニョリータ砂糖が一つも入っていないよ」
ロドリゲスは頭に手を置きあたーって言う顔をしていた。
「わからないの、ロドリゲス。」
セニョリータはロドリゲスの顔を見つめた。ロドリゲスはそれに感づき答えた。
「分かってるさ、セニョリータ。もう甘すぎるっていうことだろ。SWEET僕たちの愛は無糖のコーヒーさえも甘くしてしまう。恋のラブフェロモンだからね」
セニョリータが立ち上がった。
「違うわよ、このファックロドリゲス。0個よ、愛はないの。もうあなたとは付き合えない。別れましょう」
「WHY〜。セニョリータ。なぜ、なぜなんだ」
あまりにも突然な出来事にロドリゲスは困惑していた。

そして突然画面が暗くなり、ENDの文字がでた。

{み、短いよ。}
俺は驚愕していたが、他の皆さんは立って拍手をしていた。俺もそれにあわせて立って拍手をした。
「おもしろかったね」
平等院 春が聞いてきた。
「う、うん」
くそ、予想外の展開だ。まさか、あれで終わるとは手も握れなかったじゃないか、始まって5分で終わる映画なんて聞いたことないよ。
「まさか、あそこで、セニョリータが分身の術を使うとは思わなかったよ」
「ぶ、分身の術?」
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