春夏秋冬 The Season Story
第九章 余韻
今夜、僕は布団の上で今日の出来事を思い出し、ニヤケていた。よくやった、よくやったよ。俺。もし出来ることなら、部屋を出て外で叫びたい、お前はよくやったと。だが、僕は一般人だ、恥ずかしいので自分の心の中に留めておこう、そう、いつか、いつかもっと自分をさらけ出せるようになったらやろうと。
布団を被って布団の中で誰にも聞かれないように笑っていた。
「えへへへ」
だめだ、だめだ、隠しきれない。寝ろよ、寝るんだ。いや、寝なくてもいいよ自分。噛みしめろ、噛みしめるんだ。よく、年をとった人達や長く付き合ったカップルなど、デートでドキドキするのは最初だけとか、うっとうしいだけとか、めんそくせぇとか、言うこともあるけど、そんなの気にしません。僕が自分がよかったらいいんです。だって自分の人生だからね。自己満足、結構それで結構。自分が満足できているんだから。自分の意思を強く持って何が悪い。よし、こういうときは電話だ。
僕は、泉 佑樹に電話をかけた。
「もしもし、いっちゃん。マイネーム イズ オウ ムテキ。起きてる、イッテル、入ってる」
「・・・・・・何。今何時だと思ってるんだよ」
「何時、親父、マジ、三時」
「・・・・・・いや、そう三時だよ。夜中のよ。分かるか、普通よ。三時って言えば何している?」
「おやつ食べてる?」
「違うよ。それは午後三時だろっていうか、俺ツッコミ、どっちかといえばボケの方がって違うだろ」
「おっ、いいね自分に突っ込んでるね。いいよ」
「ってお前、俺、今寝てたの。ぐーぐー寝てたの。分かる夢の中にいたんだよ。お前は馬鹿か。後、なんでそんなにテンション高いんだ?」
「よくぞ聞いてくれた。それはな、俺は雲をつかんだよ。そう、雲をね」
「はぁ、そんなにクモが好きならてめぇの部屋にタランチュアを送ってやるよ」
「違うよ。雲だよ、お空にある雲」
「お前は馬鹿か。雲ってのは、空気中の水、または氷の微粒子が集まって空に浮いているもの。分かる空に浮いているからさわれないんだよ。じゃあ、俺寝るからお前も寝ろ」
「それは無理な相談だ」
無敵 王は低い声で言った。
「なんでだよ、お前、低い声で言うなよ。なんか腹立つから。もう充分だろ。気がすんだろ。俺は寝たいの。羊が呼んでいるんだよ。俺を」
「めぇーー、めぇーーーー」
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