春夏秋冬 The Season Story
大学に向かっている途中でも、今朝出会った彼女の事が頭でいっぱいであった。
よく、綺麗な人に言う言葉があるだろう。
立(た)てば芍薬(しゃくやく)座れば牡丹(ぼたん)歩く姿は百合(ゆり)の花って。
まさに、その通りであった。胸の高まりを抑えられぬまま僕は浮かれていた。
待ち合わせ場所では高校からの友達である泉 佑樹が待っていた。彼の姿は頭がアフロで、背中に誠と新撰組のスタイルをしていたが、僕はツッコマなかった。だって彼女の事で頭がいっぱいだったから。
「遅いぞ、早くクラスを見に行こうぜ」
僕達はクラスを見に行った。いや、見に行こうとしたが、クラスを見に行く場所は知らなかった。とりあえずいっちゃん(泉佑樹)に聞いた。
「クラスってどこの場所で見るの」
僕は聞いて見た。
「知らね」
分かりやすい答えであった。
とりあえず周りの人に聞く作戦でその場をしのごうとし、僕は周辺を見回した。するとそこには朝、僕(ドア)とぶつかった彼女がいた。これは、まさに運命いやデスティニィー、ただ英語にしただけだが、英語の方がかっこいいから。まぁ、それはどうでもいいが、僕は心から神様に感謝した。ありがとう、神様、僕はあなたを信じます。だって、彼女ともう一度出会えたから。僕はとりあえず深呼吸をした。そして彼女に聞いてみようと思った。よしっと自分の手に人という字を三回以上を書いて、たとえるなら腹痛のとき正露丸を飲むように飲んだ。
「あのう、すいませんクラス表ってどこでみれるのですか?」
と聞いてみた。
「それなら私も今から見に行くのでよろしければ案内しますよ」
優しい笑顔で言ってくれた。そして彼女は思い出したように、ああっと驚いた表情をしながら言った。
「ああ、今朝の人」
「はい、今朝のドアをぶつけた人です。本当にすいませんでした」
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