恋愛物語。
プロローグ
しんしんと降り積もる雪が、確に残した足跡を消していく...。
いつもの帰り道。
笑いあったクレープ屋。
遅刻しそうになって、必死で走ったあの坂道を、君はまだ覚えているのかな。
恋をして、泣いて、喜んで、語り合った桜並木...。
花びらが散る度に、君は悲しい目をして僕を見た。
僕はその視線に答えるように優しく君を見たけれど、本当は永遠に散り続ければいいって思ってたんだ。
目を閉じるだけで蘇る。
淡く儚い君との思い出。
もぅ君はいないのに、僕は君を思う。
だって、僕の記憶の中の君は相変わらず優しくて、弱い自分を叱ってくれている気がするから―――――...。