恋愛物語。
「ねぇ、消しゴム貸して?」
授業中が始まってすぐに可奈が話しかけてきた。
何も言わずに消しゴムを差し出す。
「ありがと!」
声を潜めてわざとらしくいう可奈を軽く睨み、黒い壁に視線を戻した。
少し静かになったかと思うと、再び甘い独特な声が聞こえてきた。
「可奈...何か怒らせるようなことした?」
視線を向けることなく答える。
「...別に。」
「じゃあ何でそんなに冷たいの!?」
「.....。」
「成宮くん、人と関わるのが怖いんでしょ?」
前ぶれなく核心に迫ってくる可奈。
俺は目を見開いたまま固まった。