恋愛物語。

見ると教室に残っている生徒はほんの数人で、そのほとんどが鞄を肩に掛け帰ろうとしている。

俺は再び机に突っ伏し、すぐに起き上がった。

そして、鞄を手に取り帰宅しようと席を立った時、担任の菅原のいつもより大きく太い声が部屋全体を包み込んだ。

「そうそう、皆にはまだ知らせてなかったが、来週から新しい仲間が増えることになった。」

ざわついていた教室に菅原の声が舞う。

「仲良くするように。以上!」

それだけ言って、伸びのある男らしい声は、菅原の喉の奥へとしまわれた。

こいつもかなり適当な奴だ...などと思いながら、俺は手にしていたアイポットのイヤホンを耳に当て、お気に入りの曲を順番に流し始めた。
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