恋愛物語。
だいたい、高校生にもなって仲良くするようになどと言われても、それはある意味ではとても困難な注文である。
幼稚園、あるいは小学校低学年の頃であれば、その一言で誰とでも友達になることができた。
狭い世界の中、先生は親よりも絶対的な発言力を持っていた。
「お利口さんね。」
と言われると、自分は正義なんだと実感できた。
誉められるという行為を誇りに思った。
その為、他の子が何か少しでも悪さをすると
「いけないんだー!先生に言ってやろー!」
などと大袈裟に騒ぎ立て告げ口に走る。
そしてその子が先生に叱られているところを見て、またもや自分を誇らしく思うのだ。
純粋なように見えて一番厄介な年頃である。
ブラウン管の中のヒーローに憧れ、正義を確立しようと必死になって行動する。
しかし、それもせいぜい小学校の低学年まで。
成長するにつれて、正義なんてものより、悪への好奇心が増していく。
中学生にもなると、正義が勝のは極めて困難になる。
それでも悪に立ち向かう数少ない正義が敗北する姿を見て、やがては誰も正義を主張しなくなる。
そうして今時小学生でも付き合う人間を見定めている中、高校生である僕たちがそうすることは必然であった。