恋愛物語。

自ら友達作りに励まなければ、友達なんてできっこない。

形式的におはようと挨拶を交したり、たまに昨日のテストどうだった?などと、たわいのない会話をする上べだけの関係に終わってしまうような“知り合い”はできても、“友達”、例えば一緒に教室移動をしたり、休みの日に遊びに行ったりするような深い間柄になるには、自分からとけこもうとしない限りはほとんど百パーセントの確率で無理であろう。

まして転校生など、所詮は人事だ。

孤独そうに本を読む者。

仲間と一緒にたわいないお喋りを繰り広げている者。

掃除当番を終えて帰宅していく者など、現に皆先程話された転校生のことなど既に忘れ、それぞれの世界に夢中になっている。

僕はそれを横目で見ながら、

「はぁっ...。」

と小さく溜め息に近い言葉を吐いて、乱暴に鞄を取り、息詰まる異世界の境界へと歩を進めた。
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