そして秘密の時間(とき)を共に
≪9月の日曜日≫
~朝の出来事~
「行ってきまーす」
いつものように、元気に挨拶して家を出ようとした。
「おい、美雪。待ってくれ」
廊下の奥の方から、お兄ちゃんの声が聞こえた。
そして数秒後に、バタバタとお兄ちゃんが小走りで玄関に来る。
あれっ?
「お兄ちゃんも、学校に行くの?」
今日は日曜日で、私はバスケ部の練習に行くところだった。
バスケ部の3年生は夏の大会で引退したので、9月下旬の今、お兄ちゃんは部活に行く必要は無い。
なのに、お兄ちゃんはスポーツバッグを持っていた。