ことばにできない
「そろそろベッドに帰らないと、大騒ぎになっちゃうね」

その人は腕時計を見て、照れくさそうに言うと、人差し指を口に当て、片目をつぶった。

「そのうちきっと、良いことあるよ」

「ありがとう」
やっとの思いでそれだけを口にすると、私は泣きそうになった。

うつむきながら、その人の名札の名前を頭に刻み込んだ。

付き添われて私はベッドに戻り、ベッドに入るや否や眠りに落ちた。
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