ことばにできない
初めて専務に会ったとき、私は、東京で二年間、援助交際で暮らしていたことを話した。

そして、この家に住まわせて貰うことになったとき、家を出たきっかけも、妊娠も中絶も、全部打ち明けた。

この家の人たちはみんな、私に同情して、涙を流してくれた。

同時に私がどれほど汚れているかも、知ったのだ。





どんなに親切にしてくれても、それはあくまで他人だから。

私を嫁に迎えるなんて、あり得ない。

そんなおめでたい人たち、いるわけない。

専務まで一緒になって、私をからかっている。



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