ことばにできない
「子供の頃、絵本の中のお姫様を見ながら、私がお嫁さんになるときにはこんなドレスがイイって、おじいちゃんとおばあちゃんに話をしたの。
二人ともニコニコしながら聞いてくれた。
ママは違った。
お前みたいな顔の子は、一生結婚できないって、はっきり言った。
私はパパにすら愛されない子なんだって。
パパは生まれてきた私の顔を見た途端、出て行ったんだって。
おじいちゃんとおばあちゃんは、それは違うって言った。
パパは私が生まれる何ヶ月も前にいなくなったって。
ママは結婚詐欺に遇ったんだって。
どっちでもよかった。
パパがいる生活を知らないし。
ずっとおじいちゃんの家で暮らしていて、これが普通だと思っていたから。
その頃はママも、仕事しないで家に居たし。
急に怒ったりしなかったし。