ことばにできない
数日後、イケハタは押しかけるように、私の家にやってきた。

そして、照哉さんを前に、一方的に話し始めた。

難しい医学書のコピーを山のように積み上げて、
それを見せながら難しい話をした。

夫は嫌がりもせずに聞いてくれた。

最後にイケハタが、

「だから、アイハラがいつか、突然我が儘になっても、それがそのままコイツの性格じゃないです。

だから、そのことで、アイハラを嫌ったりしないでください。
抱きしめてやって下さい」

というと、真面目な顔で、

「分かりました」

と返事してくれた。




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