ことばにできない
今の私は、自分が思っていたほど特別ではないことを、知っている。

例えばイケハタだって、私と似たような境遇だった。
…それを知っている人は殆どいないけど。

イケハタだけじゃない。

かつて東京で、身体ひとつで生きていたとき出会った、同世代の女の子たち。
みんな、酷い経験から逃げていた。

イケハタみたいに、頑張るヤツとか。

私みたいに、逃げるヤツとか。

イロイロいるけど、誰でもがそれぞれ、何かを背負っているってことだけは、確かだと思う。


だから私は、彼女に言ってあげたい。


あなたも大丈夫。
きっと、平凡な幸せに出会える日が来るよって。

気休めじゃないよ。
だって、あんなに酷かった私でさえも、人に助けられて、ここまで来られたんだもの。







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