ことばにできない
３．悪夢の日々
「私の彼ね、すっごく優しいの。
子供が出来たって言ったときも、怒らなかった。

ニコニコして抱きしめてくれて、言ったの。
『俺は、自分の子孫を残したくないんだ』って。

ニコニコしながら、いっぱい説明してくれたけど、私、ほとんど理解できなかった。

とにかく、子供は欲しくないってことだけはわかった。
私のことが大事だから、ちゃんと説明してくれるんだと思って…

それで私、彼に言われた通りに、病院に来たの。

彼は今朝、仕事休んで、ここまでついて来てくれた。
ずっと待っててくれたんだよ。

　…優しいでしょ？

看護師さんに『終わりましたよ』って言われたら、私、取り乱しちゃって。

彼氏の顔を見た途端、大泣きしちゃった。

そしたら看護師さんが薬くれて。ちょっと休みなさいって。

それ飲んだら、寝ちゃった。二時間くらい。

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