ことばにできない
6.再びの闇
アルバイト先のコンビニから言われたのは、
「ヘアダイ禁止、メイクは薄く」
黒髪と素顔に戻るには、かなり勇気が必要だった。
でも、あれから何カ月も経ったのだし、
あの男がここまでやってくるはずはない…
こうして私は、コンビニ店員となった。
アパートから店まで、徒歩30分。
大家さんの言うとおり、この距離で楽になれる。
働いている間は、母からも、近所の人からも自由だ。
家族だけで切り盛りするコンビニ。
店長の家族はそろって、私に好意的だった。
店長夫人はよく、好奇心見え見えの質問をしてきた。
「お母様のこと、たいへんでしょ?」
私が「ええ、まあ…」と曖昧に答えると、それ以上深くは聞いてこなかった。
帰る時に、賞味期限ギリギリのお弁当やパンを渡される。
初めは抵抗があった。
でも、正直助かる…
朝はいつも、お昼代を置いて家を出た。
それは殆ど酒代となった。しかも母は文句を言う。
「これっぽっちじゃ足りない」
私はいつも、
「これが精一杯」と答えた。
母は渋々納得し、私たちはなんとか、まともに見える生活していた。
それが、壊れた。
「ヘアダイ禁止、メイクは薄く」
黒髪と素顔に戻るには、かなり勇気が必要だった。
でも、あれから何カ月も経ったのだし、
あの男がここまでやってくるはずはない…
こうして私は、コンビニ店員となった。
アパートから店まで、徒歩30分。
大家さんの言うとおり、この距離で楽になれる。
働いている間は、母からも、近所の人からも自由だ。
家族だけで切り盛りするコンビニ。
店長の家族はそろって、私に好意的だった。
店長夫人はよく、好奇心見え見えの質問をしてきた。
「お母様のこと、たいへんでしょ?」
私が「ええ、まあ…」と曖昧に答えると、それ以上深くは聞いてこなかった。
帰る時に、賞味期限ギリギリのお弁当やパンを渡される。
初めは抵抗があった。
でも、正直助かる…
朝はいつも、お昼代を置いて家を出た。
それは殆ど酒代となった。しかも母は文句を言う。
「これっぽっちじゃ足りない」
私はいつも、
「これが精一杯」と答えた。
母は渋々納得し、私たちはなんとか、まともに見える生活していた。
それが、壊れた。