ことばにできない
空気が微妙に、いつもと違った。

私の周りだけにバリアがあるみたい。

暇なときに、2、3人がコソコソ話したり、私の方を盗み見たりしている。


それでも仕事は普通で、やがて、夜中の12時になった。

この時間で上がる女の子二人が着替えて来た。

そして、一本のビデオをカウンターの私の前に出した。

「これ、借りようかな~」

一人がカウンターに肘をついて、意味ありげに私の顔を下見上げる。

もう一人はその後ろで、うす笑いを浮かべていた。



今更、アダルトビデオで、私が動揺すると思っているの? 

…そう思いながらビデオケースを見た。




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