遠距離、恋愛。-二人の距離-
小さな声で言われたけど。

俺は自分の顔が赤くなるのがわかった。

「いいっすよ、今じゃなくて」

でも、そんな俺の言葉は完全に無視されたらしくて。

不思議そうな顔をしているトモに向かって、大野さんが話しだしてしまった。

「こいつね、ずっとトモちゃんに片思いしていたんだよ」

笑いを必死にこらえながらトモに話しかけている大野さん。

大野さんの横で、マユさんも目をくりくりさせて興味津津といった感じだ。

トモも、急に何を話しだしたのか理解できないようで、キョトン、としていて。

俺はもうこうなったら止めることはできないとあきらめ、手元にあったウーロン茶を口にした。

「いつもさ、週末トモちゃんに会った翌日は、仕事中もずーっと君の話ばかりで」

大野さんの話は、まるで予想外だったとでもいうように、疑いの眼差しを向けているトモ。

そんな視線に気が付いているのか、大野さんは笑いながらはなしをつづけて。

「だから、噂のトモちゃんに会えてよかったよ」

さらりとそう言うと、マユさんの肩を抱き寄せた。

「どうして大野さんが言っちゃうんですか!俺まだトモに自分の気持ち伝えたことないのに」

余裕で話をする大野さんに、ちょっとだけ怒りを覚えてしまう。

思わず、本音が出てしまった。
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