遠距離、恋愛。-二人の距離-
ふと目を覚ますと、降りる駅の一つ手前の駅に停車していて。

危うく寝過ごしてしまったかと思ったけど違ってほっとした。


「降りる駅でしたか?」


どうやらあわてた私を見ておりそびれたのかと思ったんだろうか。

となりのサラリーマンがちょっと笑いながらこちらを見て話しかけてきた。


「・・・いえ、次の駅でした」 


まさか話しかけてくるとは。

よかったですね、と笑うと、手元にあった新聞に再び視線を落としたサラリーマン。

初めて目があったけど、結構いい男かも。


でもなんだか話しかけられて居心地が悪くて。

たまたま隣になっただけの、知らないサラリーマン。ちょっとイケメンだけど。

早く次の駅に着かないかと外の景色ばかりを見ていた。



車内アナウンスでもうすぐ駅に着くことを伝えている。

そろそろ降りる準備をしようかなと思ったら、隣のサラリーマンが立ちあがって棚の上にある私の鞄を下ろしてくれた。
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