遠距離、恋愛。-二人の距離-
手に持っていた缶ビールをガラスのテーブルに置き、両手を広げて隣にいる私を待っているコウタ。

手渡されてからまだ明けてもいなかった缶ビールを、私もガラステーブルの上に置いてごく自然にコウタの腕の中におさまった。


「いつもは遠いトモが、ここにいるのが信じられない」


背中にまわされた手に力がこもって。

ちょっと息苦しいけど、ちょっと恥ずかしい。


私もそっと手を動かしてコウタの背中に手をまわして。

負けないくらい力を込めてぎゅーっと抱きついた。


「コウタ、好き」


コウタに包まれて、くすぐったいような気持ちいいような。

ああ、コウタの香りだなんてどきどきしたりして。


「トモ、俺も、好き」



口に出して伝わる言葉って、素敵。
< 29 / 127 >

この作品をシェア

pagetop