遠距離、恋愛。-二人の距離-
大学生になり、新しく買ってもらったノートパソコン。

持ち運べるように軽いタイプにして、時々大学へも持ち運んでいた。

「中野君、ノートかしてくれる?」

授業が楽しくて、びっしり書きとめられた俺のノートは、クラスの中でもなかなかの人気で。

あまりにも人気があるので、お金を取ろうかと思ってしまうほど。

「あー、今あいつに貸してるから、終わったら借りてよ。明日返してね」

教室の隅で俺のノートを見ながらメモを取っているやつを指さすと、声をかけてきたやつはそちらへ歩いて行った。

毎日こんな感じで俺のノートは誰かのもとをうろうろとしている。

一度授業を受ければある程度は頭に入っているので、次の授業までに帰ってこれば問題はないんだけど。

いつものようにノートパソコンを立ち上げ、今日の授業の要点などをメモ帳に書きとめる。

パソコンでのメモは、基本が英語。

単に、入力になれているからなんだけど、日本で生活をしていると英語に触れる機会がないので忘れないためにもちょうどいい。

特別仲の良い友達がいるわけでもないけど、こうして適度にかかわりを持つ人がいて、悪くはない。

ふとパソコンを見ていて、そう言えば日本へ来てからチャットをしていないな、と思いだした。

何気なく、チャットを立ち上げ、大学のネットワークからインターネットにつないでみた。
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