遠距離、恋愛。－二人の距離－
そのあとをついて歩くものの、すごく場違いな気がしてどきどき。

途中、靴を脱いで長い廊下を歩いて行く。

中庭の景色が素晴らしくて、立ち止まったお客さんに料亭の女性が説明してくれていることをそのまま通訳する。

そんな説明を聞いて大満足しているお客さんを部屋へ案内すると、俺の席もちゃんと用意されていて。

「中野君も座ってね」

お客さんの隣に用意されていた席に座るように勧められる。

仕事がら、隣に座った方がいいということを理解しているものの、なんだかすごく恐縮してしまう。

「あまり堅苦しくしなくて大丈夫だから」

かちこちに緊張している俺を見て、お客さんまでもが笑っていて。

顔が赤くなるのを感じながらも、接待の夜が始まった。

社会人の、それも外国からのお客さん相手の接待。

まあ、美味しい日本の料理を食べてお客さんとの親睦をはかるのが目的らしいこの席も、俺は自分の食事もろくに喉を通らず、大人の会話を適度に噛み砕きながら通訳していた。

『君は食べないのかい？』

ほとんど食事に手をつけない俺を心配して、お客さんにまで言われてしまう。

『あ、いえ、いただきます』
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