遠距離、恋愛。-二人の距離-
「そう、明後日いつものリチャード氏が急遽来日することになって、どうしてもと君をご指名なんだよ」

「え、リチャード?」

このリチャードという人物。

アメリカの有名な大学で教授をしている、若いアメリカ人で。

もちろん、俺よりはうんと年上だけど、何度か会う中で気が合うというかなんというか。

お互いをファーストネームで呼び合うくらいの仲になっていた。


「そう。明後日木曜日から月曜日のお昼の便で帰るまでなんだけどね」

木曜日の15時に空港に着くという彼を、今年も変わらず担当の女性と一緒に迎えに行く。

結局、木曜・金曜と大学を休むことにして。

月曜日は午前のみお休みし、午後からの講義に間に合えば出席することにした。

「たくさんお休みしちゃって、大丈夫だった?」

俺と一緒にいる時間が長いのもあって、最初の頃よりはかなりフレンドリーになれた担当者も、英語が苦手ってだけで実は多少ならしゃべることができるということを最近知った。

でも、通訳になるほどは難しいようで、相手にもかなりゆっくり話してもらわないと理解できないことが多いのだという。

「ええ、俺成績だけはいいもんで」

「あらー、嫌みねー」

国際線のロビーで、到着まであと少しの時間を過ごしながらそんな会話をしていると、飛行機が到着したことを知らせている。

「さ、そろそろ行きましょうか」

初めてお会いするお役さんの場合は、カードを持ってお迎えするんだけど。

何度か会っているリチャードとは、お互いの顔を忘れることもなくて。

まるで久々にあう友人のような気分でゲートから出てくる姿を探した。
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