遠距離、恋愛。-二人の距離-
朝から晩までなれない仕事にかなり疲れたけど、夜仕事が終わってからは温泉に入ることが許されていて。

「はー。すっごい気持ちいいなー」

ヒサシと二人、露店風呂につかりながら一日の疲れをとっていた。

「しっかし、お盆くらい実家の親と過ごさなくてもいいわけ?」

お盆明けまでずっとここでお世話になることを決めていた俺は、ヒサシに心配されてしまったようで。

「ちゃんと、バイトが終わったら実家に帰るから大丈夫」

親にはバイトのことを伝えたうえで、承諾を得ているので問題ない。

力仕事はつらいこともあるけど、いろんな人と接することができる旅館というのも、悪くない。

「明日は海外からの団体さんがあるから、案内を頼まれると思うよ」

「おお、了解」

夜、旅館ではなくて実家の自分の部屋に泊まるというヒサシと別れ、割り当てられた部屋へ行く。

職員用の離れだったけど、きっとどこかの安い宿よりも立派で。

ただ寝に帰るだけにはもったいないくらいの部屋だった。


翌日は、夕べヒサシが言っていたとおりに団体のお客さんが来て。

皆日本語がほとんどできず、英語ができる何人かの従業員でほとんどの対応をすることになっていた。
< 82 / 127 >

この作品をシェア

pagetop