遠距離、恋愛。-二人の距離-
そういえば、サラへメールを送ることもしていなかった。

言われるまで気がつかないなんて、どんなに家族をないがしろにしているんだろうか。

どんどん自分が情けなくなってしまい、思わず横にいたサラにギュッと抱きついてしまった。

「わ!こーた!」

声をあげた割には嫌がっている感じはなくて。

抱きついている俺の頭を撫でながら、くすくすと笑い声が聞こえてきて。

「次は夏休み開けてすぐの週末ね」

帰る日まで指定されてしまったけど、これくらいされないと帰れないかもしれないなんて。

「わかった。サラの好きなドーナツ買ってくるから」

「えー!私そんな子供じゃないし!」

ぐいっと引き離されて、それでもチョコレートのは忘れないでね!と念を押されてしまった。

「さあさあ、ご飯にしましょう」

久しぶりに家族4人そろっての食事。

俺が帰らないから仕方ないんだけど。

3回目の3年生をしている俺と違って、ストレートで4年生になっているサラ。

夏休みが明けたら就職活動に忙しくなると言っていた。

「私ね、英語の先生になるんだ」

「教員採用試験を受ける?」

「そうそう」

サラのことだから、きっと合格するだろう。
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